中央公論2015年3月号に「2015年新書大賞」が発表されました。
1年に出版された新書から識者がそれぞれ5点を選び、ポイント化して、年間ベスト20を選んでいます。その中から、以下の3点を
図書館から借りてきて読んでいます。
1.佐々木克著 「幕末史」
2.赤坂真理著 「愛と暴力の戦後とその後」
3.鈴木亘著   「社会保障亡国論

1.について
幕末物と言えば、何と言っても大仏次郎の「天皇の世紀」だろう、と考えていた。私は確か10巻の「江戸攻め」を読んだだけであるが、
大久保利通ら各藩士らの書簡原文を豊富に引用するなど、単なる小説ではなく、大仏次郎畢生の大作であり壮大な幕末ドキュメントであると感じた。
しかし、全12巻はとても読め通せないない。
政治学苅部直は「幕末の政治史」に関して、「最新の学問研究に基づいて書かれた、信頼できる新書版の概説としてはおそらく初めての一冊」
と推薦している。
幕末の重要なキーワード「攘夷」とは、単なる排外主義を意味せず、不平等条約の改正(穏健論/強硬論)を目指す政治的な主張や行動を意味してい
たなど、新たな示唆を与えてくれ、面白く読み通せた。
2.について
赤坂真理の「東京プリズン」に対する識者の高い評価は以前から知っていた。実際古書を購入もしているが、積読状態であった。